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足が重い、だるい、むくみがある方へ

下肢静脈の治療(外科 辻 和宏)

「下肢静脈瘤」下肢の表在の静脈が瘤(こぶ)状に浮き出る疾患です。出産後の婦人や農家、商店、看護婦、美容師など立ち仕事の多い職業の方に多く、女性が圧倒的に多く男性の3~4倍に見られます。
原因は、妊娠出産時の腹圧の上昇や長年の立ち仕事で静脈の逆流を防止する弁が壊れることによって起こります。症状は主には下肢の重量感(下肢が重い、だるい感じ)、浮腫(むくみ)などが多く認められますが、中には皮膚に変色や湿疹、ひどい場合は潰瘍を形成します。また美容上の理由(見た目が悪い、恥ずかしくてスカートがはけないなど)で受診する方も少なくありません。
検査は、ほとんどの場合超音波検査のみを行っています。病的静脈の検出や逆流の程度、血管の太さなどを観察します。

静脈の逆流を防止する弁が壊れることにより、下肢の表在の静脈が瘤(こぶ)状に浮き出た状態

超音波(エコー)検査装置を使い、足の断層像(輪切りの画像)を撮影します。検査はこのように検査台に立った状態で行い、病的静脈の検出や逆流の程度、血管の太さなどを観察します。


治療方法は超音波検査の結果を踏まえて決定します。軽症の場合は逆流の認められる静脈の結紮術硬化療法を行っています。逆流がひどい場合は部分的に静脈を抜去(部分的ストリッピング術)することもあります。超音波検査でマークをつけていた部に局所麻酔を行い、約1.5cmの皮膚切開を行い静脈を露出し結紮します。その後美容的なことも考慮し、皮膚縫合は行わずすべて皮下の埋没縫合を行っています。


したがって抜糸の必要はありません。最近では、特殊な皮膚接着剤が開発され、手術当日からシャワー浴が可能になっています。
軽症の場合は入院せずに外来処置として治療を行いますが、最近では術後の経過観察のために日帰り手術(午前中来院し、夕方あるいは翌朝帰宅)を積極的に取り入れております。重症で腰椎麻酔を行い両下肢を一度に治療する場合には入院は必要ですが、その他の場合は原則として患者さんの希望通りにするようにしております。追加の治療として、硬化療法があります。これは、非常に軽症の場合や、逆流の原因となっている静脈の結紮術や部分的ストリッピング手術の補助として行うことがあります。その方法は、静脈瘤に2~3カ所細い針を刺し、特殊な薬剤(硬化剤)を少量注入します。これにより血管の内皮を傷害させ血管を潰します。痛みはほとんどありません。傷害された静脈は3~6ヶ月後には自然に吸収されてしまいます。
後治療としては、弾力ストッキングを着用していただいております。外来通院は初診日、治療当日(翌日)、1週間目、1・3・6ヶ月目のみです。先に述べましたとおり日帰り手術を取り入れておりますが、高齢者や地理的な状況、患者さんの不安などを考慮しご希望があれば入院していただいております。
お気軽にご相談ください。

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