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高松市乳がん検診を受診される方へ
マンモグラフィ(乳房撮影)による乳がん検診について(外科 斉藤 誠)
乳がんは早期に発見し、治療を開始することが大切です。昨年高松市乳がん検診で 684人の方が当院を受診されました。その状況は以下のようでしたので、お知らせします。
Ⅰ 月別受診者数
期間後半になると混み合う傾向があります。混み合うとご迷惑をおかけしますので、早めの受診をお願いします。
Ⅱ 年齢別受診者数
Ⅲ 年代別受診者数
受診された684名のうち
精密検査が必要と判断された人 12名(1.75%)
最終的に乳がんと診断された人 1名(0.15%)
また、アンケートでは
自己検診をしていると回答した人 309名(45.2%)
乳がんは早期に発見すると、予後のよい疾患です。自宅でも自己検診をするよう心がけてください。
当院では視触診に加え超音波検査を実施し、より正確な検診を目指しております。
安心して検診をお受けください。
今年より高松市乳がん検診を受診される方で、50、55、60歳の方はマンモグラフィによる検診が導入されることになりました。
詳しくは、下記にわかりやすくQ&Aで説明していますので参照ください。
乳がんはこれからどうなるのですか?
乳がんは、食生活の欧米化などにより著しく増えています。乳がんにかかる人、乳がんで死亡する人は年々増加し、将来さらに増加することが予想されます。
乳がんは発見されたときの病期(進行度)によりその治療成績が左右されます。
早期では100%に近い生存率が期待できますが、進行がんで発見されると生存率はおよそ50%となります。また早期に発見された場合は乳房を残す乳房温存療法が可能です。すなわち乳がんは早期に発見することが大切です。
乳がん検診と月経との関係について
乳腺は女性ホルモンの影響を受けています。排卵から月経が始まる頃まで、卵巣から分泌されるホルモンによって影響を受け乳房が硬くなったり痛みを感じたりします。閉経前の方が検診を受けたり自己検診を行うタイミングとして月経開始後1週間くらいがベストといわれています。
いつもと違う症状がありますが、検診日まで待ってよいでしょうか?
しこりや乳頭分泌などいつもと違う症状のある人は、検診を待たずに出来るだけ早く近くの医療機関を受診してください。乳がん検診は、原則として症状のない人に対して行われます。
なぜ、これまでの乳がん検診では十分ではないのですか?
日本での乳がん検診は、医師がみて触って診断する「視触診」という方法で実施されてきました。
最近厚生労働省研究班が行った研究で「視触診による乳がん検診は、無症状の場合は死亡リスク低減効果が認められるが、有効性を示す根拠は必ずしも十分ではない」ことから、乳房X線撮影(マンモグラフィ)の導入に関して早急な対応が求められる、との結論が示されています。
マンモグラフィ実施のガイドラインとして、50歳以上の女性については、2年に1回の視触診とマンモグラフィの併用法による検診を行うことを提言しています。
マンモグラフィってなに?
乳房X線撮影のことで、マンモグラフィと呼ばれています。乳房は柔らかい組織で出来ているために、専用のレントゲン装置を使って撮影します。現在は乳がんの精密検査の一つとして用いられているものですが、検診にも用いることができます。
マンモグラフィ検診は有効なのですか?
マンモグラフィ検診は欧米では最も一般的で、乳がんによる死亡を減少させる効果が得られています。日本ではまだ多くは実施されていないため効果は実証されていません。しかし、マンモグラフィを使った場合には多くの乳がんが早期に発見できるため、乳がんによる死亡を減らせると予想されます。
検診で異常がなくても、次の検診までの間に乳がんが見つかることがあります。これを「中間期乳がん」といいます。今までの視触診による検診では中間期乳がんは約30%ですが、マンモグラフィを使うと10%以下に減ります。
放射線被ばくによる危険はないのでしょうか?
X線検査ですので放射線被ばくがありますが、乳房だけの部分的なもので骨髄などへの影響はなく、白血病などの発生はありません。1回の撮影で乳房が受ける放射線の量は、東京からニューヨークへ飛行機で行くときに浴びる自然放射線のほぼ半分です。したがってマンモグラフィ撮影に伴う危険はほとんどないか、あっても極めて小さいと考えられています。
また、マンモグラフィ検診で得られる利益(乳がんからの救命)があります。50歳の女性が2年に1回検診を受けた場合、乳がんを発見して命を救える利益と被ばくによる危険とを比較すると、検診による利益が被ばくによる危険よりも約100倍大きいことがわかっています。怖がらずに正しい検査を受けましょう。
マンモグラフィ撮影では、なぜ乳房への圧迫が必要なのですか?
マンモグラフィ撮影では、乳房を挟んで写真を撮ります。乳房は人により厚みも大きさも違いますので、よい写真を撮るためには乳房をなるべく均等に圧迫して撮ることがとても重要です。また適正に圧迫することで、放射線の被ばく量も少なくなります。少しの間頑張ってください。
精密検査が必要といわれたのですが、心配ないでしょうか?
乳がん検診で異常が見つかり、精密検査が必要となる人は約5%(100人に5人)です。さらに精密検査を受けた方の2%(100人に2人)つまり全体ではおよそ1000人に1人が乳がんと診断されますが、残りの方はがんではありません。がん検診で異常が見つかっても、その大多数の方は乳がんではありませんので、あまり心配しないでください。マンモグラフィを受けていれば、たとえ乳がんが見つかったとしても早期がんである可能性が高くなります。
精密検査にはどのようなものがありますか?
検診で異常が見つかった場合、精密検査として、マンモグラフィの追加撮影、超音波検査(エコー)、乳頭分泌の細胞診などがあります。さらに悪性が疑われる場合には、細い注射針にて細胞を採取する吸引細胞診または試験的切除を行います。
検診の費用と効果はどうなりますか?
今までの視触診による検診にマンモグラフィが追加されますので、その分費用が高くなります。ただし2年に1回の検診ですので、1年当たりの費用はこれまでとほぼ同じになります。一方マンモグラフィを使うことによってより多くの命が救われますので、1人の命を救うのにかかる費用は50%以上改善されます。
当院では、本年8月にマンモグラフィの新しい優れた器械が導入されました。
撮影する診療放射線技師、マンモグラフィを適切に評価する医師ともにマンモグラフィ検診精度管理中央委員会が行っている試験に合格しております。安心して検診をお受けください。